超軽量材料システム

 究極の超軽量材料の機能化および社会実装に取り組んでいます。従来の発泡スチロールやウレタンフォームよりもさらに密度が低い、10mg/cm3以下の超軽量材料を対象にした研究に取り組んでいます。ナノカーボン材料やナノセルロース材料と高分子材料をコンポジットすることで機能材料の創出を目指しています。また、「超軽量材料により宇宙・空の新時代を切り拓く」を合言葉に、宇宙分野・航空分野の方々と共同研究を行っております。

空気に浮く超軽量材料

密度が小さい材料を追求していくと、この地球においては1.293mg/cm3 (0℃)という空気密度が一つの目標となります。この空気密度よりも密度が小さな材料をつくるとどうなるのでしょうか。空気より軽い材料は空気に浮く?のでしょうか?是非以下の動画をご覧ください。

 空気より密度が小さい材料をランプの光により温めますと内部の空気が膨張し、周囲空気よりも密度が小さくなることで、材料が空気に浮きます。現在はこのような空気に浮く究極の超軽量材料に工夫をこらすことで、空中浮遊の姿勢制御を目指しています。空気密度以下でより高強度な材料が実現できれば、将来的には空飛ぶ絨毯も可能かもしれません。

―― 本研究へのご支援 ――

  1. 公益財団法人 立松財団 一般研究助成  「空気に浮く超軽量材料の開発」, 2020年10月 – 2021年9月
  2. 公益財団法人 中部科学技術センター  学術・みらい助成 「常温環境下で浮遊する超軽量空中浮遊素材の開発」, 2022年11月 – 2023年10月
  3. 公益財団法人 永井科学技術交流財団  奨励金 「超軽量空中浮遊素材の浮遊姿勢制御」, 2023年3月 – 2024年3月
  4. 公益財団法人 池谷科学技術交流財団 単年度研究助成 「空気より軽い素材を用いた空中浮遊オブジェの提案」, 2024年4月-2025年3月
  5. 一般財団法人 新素材情報財団 「3D造形技術によるカーボンナノチューブ超軽量空中浮遊素材の作製」, 2024年4月-2025年3月

宇宙機・エアモビリティ向けの超軽量電磁波遮蔽・吸収材料の開発

 作成中

空飛ぶクルマ・ドローンの騒音低減化に向けた超軽量吸音材料の開発

  我々が開発する超軽量材料は、高い吸音性能や遮音性能を有しております。特に、1000Hz以下の吸音性能が高い点に特徴があり、500Hzあたりの面密度で比較すると図1に示すように、既存材料と比較して圧倒的に軽量かつ高い吸音性能を示します。

 また、空飛ぶクルマやドローンの普及に向けて研究開発が進められています。しかし、空飛ぶクルマやドローンの普及には、社会受容性を確保することが重要です。特に普及フェーズにおいては、騒音問題が生じることが懸念されており、その対策が必要です。

 我々はそのような社会的な要求を先取りし、超軽量吸音・遮音材料を活かした騒音対策の基礎研究を進めております。

 そのような活動を以下の動画にまとめておりますので、ご覧下さい。

―― 本研究へのご支援 ――

  1. 名古屋大学指定共同研究、素材メーカー様
  2. NEDO先導研究プログラム , 「空飛ぶクルマ・大型ドローン用途向け超軽量 吸音・遮音材料の開発」, 2021年5月 – 2022年3月.
  3. 宇宙航空研究開発機構, JAXA 航空イノベーションチャレンジ2022 powered by DBJ FS , 「次世代空モビリティの騒音を低減する超軽量吸音・遮音材料技術」, 2022年8月 – 2023年3月.
  4. 宇宙航空研究開発機構  JAXA 航空イノベーションチャレンジ2022 powered by DBJ 共同研究フェーズ, 「超軽量吸音・遮音材料技術を用いた次世代エアモビリティの低騒音化技術の開発 」, 2023年9月-

超軽量材料の社会実装に向けた取り組み

 大学で得られた基礎的な成果を、いかに顧客が求める製品へと落とし込み事業化するかは、持続的に大学での基礎研究を継続していくためにもますます重要な課題となっております。製品化を行うためには、マーケットの把握、顧客ニーズの聞き取り、それにスピーディーに応える研究開発能力、事業化していくための資金力、人材、グローバル展開など、越えなければならないハードルは多くあり、簡単ではありません。

 しかし、そのようなハードルを越えていこうとする過程で、真に深めるべき基礎技術を確認することができ、大学研究だけでは生まれない幅広い人とのつながり、個の力と組織での協調性が養われることを実感しています。

 「超軽量材料により、宇宙・空の新時代を切り拓く」

を合言葉に、新しい時代を切り拓く真の材料技術へと発展させるために、大学発スタートアップを立ち上げ、大学組織に留まらず、社会に広がるステークホルダーを巻き込んで、社会実装に向けた活動を推進しています。

―― 本研究へのご支援 ――

  1. NIMS, 次期「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の課題候補「マテリアルプロセスイノベーション基盤技術の整備」に係るフィージビリティスタディ(FS)実施に関する調査研究 個別テーマの技術実現性等調査, 「究極の軽さで、宇宙・空の新時代を切り拓く ~超軽量構造材料イノベーションの創出」, 2022年9月 – 2023年3月