Flame retardant material systems / 難燃性・不燃材料システム
軽量化の要求が高まるにつれて, 金属材料から高分子材料への代替が進んでいますが, 高分子材料等の有機材料は, 燃えやすいという欠点を有します. このため, 高分子材料の難燃化の研究が進められています. 高分子の燃焼は, 一連の燃焼サイクルによって継続されるため, この燃焼サイクルの一部を遮断することで, 燃焼継続を阻害することができます. 有機材料の燃焼メカニズムの解析と難燃化・不燃化に向けたコンポジット部材の設計を行うことで,高分子の難燃化・不燃化に取り組んでいます.
データ駆動型難燃・不燃材料システム開発
高分子材料の燃焼性評価は, 規格試験に基づく定性的な評価が中心であり, 膨大な実験データや経験に基づく知見が存在するにも関わらず定量的なデータの蓄積が不足しており, 学問的な体系化が進んでいないのが現状です. これは, 燃焼状態が時系列情報を含むため, これらを時間軸に沿って解析することが処理速度などの制約もあり, 近年までは十分にできなかったことにも起因します. 一方で, 近年はコンピュータの処理速度が大幅に向上し, 画像解析に関する様々なツールやデータ解析手法が発展しており, 膨大な情報を取得し特徴を抽出することが可能になってきました.
当研究室では, 燃焼状態の画像解析技術を構築し, 燃焼状態の定量化と特徴量の抽出を行うことで, 高分子の種類や各種添加剤を加えた場合の燃焼状態のデータベースを構築しています. このようなデータベースに基づいて, 難燃機構の理解や各種添加剤の効果を分類分けすることで, 難燃・不燃材料の学問的な体系化を目指すと共に, 難燃・不燃材料開発にデータ駆動型の材料開発を取り入れ, 強力な開発ツールを構築することを目指します.
樹脂の分解機構に立脚した難燃不燃材料システムの構築
高分子材料は加熱されると, 高分子鎖が分解し, 揮発生成物の生成や分子量の低下が起こります. このような高分子材料の分解機構をよく理解した上で, 新たな難燃・不燃手法の開発に取り組んでいます. ポリオレフィン等の材料は分子量に依存して燃焼性が大きく変化することが知られており, 燃焼中の高分子の分子量および揮発生成物の制御による難燃化を試みています.